沖縄 すば
首里のとある有名なそば屋、お昼時終わりの時間帯でそうそう混んではいなかった
何にしようか醤油が染み付いてアブラギトギトのメニューを見つつ
「まだねぇニィさん、早くしないとオバー名護に帰るよっ」
という下らないギャグにもならないセリフを交わしつつ
「エーオバー、スバティーチ(1つ)」
時間が経つこと数分間
コントにありがちなスバに親指がスープに浸っている状態でオバーが私の所に近ずいてくるではないか、これは現実なのか?嫌がらせなのか?正気にならない週秒間が脳裏を駆け巡った
「ハァイ!!スバ」
「はぁー・エーオバー スバアランシガ、ヤーナンカ? ユビ・・・・・」
その瞬間オバーは持っていたそばの丼を離したとたん我が目を疑った
「ヌーガ!!」
「ネッ...ネェ-ラン」
そうオバーの親指の第一間接から先は無かったのだ
スバから天上へと続く階段のように湯気が拡がっていた
押さえ切れない涙のまま、我武者羅にスバを命一杯口にホウばった。俺のしたことが、恥ずかしい想いとやるせなさで一杯になった。戦争で失ったのかその背景は知るよしも無いが私は久々に自己嫌悪に深く陥った。
オレとした事が\
味も何も解らぬままつぶさに500円を握り締め会計を済ませ、足早に駐車場に向かった。
先ほどのオバーがいた。お昼休憩なのだろうか?日向ぼっこをしながら労働の汗で消えてしまった肌に再びファンデーションを塗り直す姿があった。私は何も無かったかのように車のドアノブに手を掛けた
やはり謝罪をしようと少しだけオバーの方を振り返った。オーバぁは起用にマニュキアを塗っていた。最近の若い女性のような繊細なテクニックと綺麗さは無いが、お洒落を覚えたばかりの天真爛漫な少女の様な可憐さはあった。
詫びる代わりに明日、マニュキアをプレゼントしようと結婚記念日も、妻の誕生日プレゼントも普段忘れてしまう私だが
この時はそう堅く心に決めた
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